プリティー研究所

プリティーリズムの考察など

キンプリ KING OF PRISM Shiny Seven Stars 第3話の感想と批判

第2話に引き続き、キンプリSSSの感想を書く。

前回と同じく、PRISM1というプリズムショーの大会に臨むキャラクターを描いているのだが、今回はプリズムショーシーン以外は以前に青森に営業に行った時の話が中心になっている。その時におこなったタイガのプリズムショーと、現在のPRISM1におけるタイガのプリズムショーを被せるという構成となっている。

エンディングは前回は本編の途中から曲が流れて、そのまま途切れずにクレジットに突入するという形式だったのだが、今回は本編の途中から曲が流れずに残念だった。あと前回は次回のサブタイトルは右下にさりげなく表示されていたのが、今回は真ん中に文字サイズもやや大きめで表示されていたのも残念だった。あくまでエンディングはその回にスポットが当たったキャラクターを立てて、次回のサブタイトルは主張しすぎない方がよかった。

本編の内容としては、第3話でスポットが当たるキャラクターは香賀美タイガ。タイガは祭り好きで、ねぶた祭りの時期にはいつも実家のある青森に帰省している。今年も祭りの時期が近づき、タイガは帰省を考えていた。そんな折、青森での営業の仕事が入り、エーデルローズ生のみんなで青森に向かうことに。エーデルローズは滞在費も出せないので、タイガの実家に泊まることになる。そこでタイガが小学3年生の頃、東京で初めてカヅキとプリズムショーに出会った時のこと、二年前にカヅキと再開してスタイルが変わってしまったカヅキに失望した過去が語られる。翌日、ねぶた祭りの山車が工場から出せず間に合わないというアクシデントが起こり、穴埋めとしてタイガはプリズムショーを行おうとする。

よかった点としては、 タイガは家庭もそこまで特殊ではなく、プリズムショーを始めたきっかけもカヅキに誘われて何気なく始め、エーデルローズに入るきっかけも姉が勝手に願書を出したといった具合に、アニメらしい劇的な理由があるわけではなく、等身大のキャラクターで好感を持てた。プリズムショーも疾走感があってよかった。ところでタイガの母親が元プリズムショー関係者だったような素振りがあったが、結局明かされなかったのは謎だった。

悪かった点としては、タイガにスポットが当たる話なのに、これはある種カヅキの物語の続きとなっている。カヅキは黒川冷の背中を追っていた。それが黒川冷を知らず、カヅキだけの背中を追っているタイガの存在によって、カヅキは初めて黒川冷と肩を並べる存在になれたことを意味する。しかし、これではタイガのキャラクターがあまりにもカヅキに依存しすぎている。男子プリズムショーは、女の子の心をときめかせる「アカデミー系」と、自分の道を究める「ストリート系」というスタイルがあるらしいが、タイガはもはや第三陣営の「カヅキ系」になってしまっている。

前々作のキンプリで、タイガとアレクはスタイルが変わってしまったカヅキに怒りをぶつけていたが、タイガとアレクの怒り方に差があった。アレクはカヅキが「ストリート系の地位を落とした」と言っていた。アレクはカヅキがストリートのカリスマと言いながら、表舞台でストリート系のスタイルを貫かなかったことに怒っていて、カヅキというよりもストリート系のスタイルに拘っているのだと思われる。それに対してタイガは、プリズムショーとの出会い自体がカヅキがきっかけで、黒川冷の存在も知らず、タイガが拘っているのはストリート系ではなくカヅキなのだ。だからタイガは「ストリート系のカヅキ」の背中を追っているものの、カヅキがストリート系のスタイルを崩しても、そこまで嫌いにもなれないということなのだろう。

別にカヅキを超えるという話にはならなくていいが、カヅキから離れたタイガのキャラクターがない。タイガの人格を作っている要素として「カヅキ」と「祭り」があるが、祭りの方は「なぜ祭りが好きなのか」といったエピソードもなく、あまりにもカヅキだけに依りすぎている。タイガが拘っているのはストリート系ではなくカヅキだから、ストリート系への想いが描かれないのはいいとしても、祭りへの想いは描けたはずだ。

正直なところ、今の段階ではキャラクター紹介であって物語の面白さはない。前回からそうなのだが、「キャラクターの幼少時代のエピソードを見せてプリズムショーを行う」といったパターンになっていて、現在の時間においての成長というかターニングポイントがないからだ。エーデルローズに入学する前の過去エピソードばかりで、エーデルローズ生の7人の関係性があまり描かれず、エーデルローズに入学した意味が抜けている。エーデルローズに入学してから経験した、キャラクターが他者や環境(この場合、エーデルローズの仲間やエーデルローズという環境)から新たな情報を発見するというターニングポイントがない。「シンがプリズムのきらめきを思い出させてくれた」といった台詞だけではなく、お互いに影響を与え合うような具体的なエピソードでもあれば違ったのだろうが。これは尺の問題なのか、最初から描く気がないのかはわからない。ただ今回は前回と違って成長っぽくしないだけ潔いと言える。