プリティー研究所

プリティーリズムの考察など

キンプリ KING OF PRISM Shiny Seven Stars 第6話の感想と批判

キンプリSSS第6話の感想を書く。

今回も前回までと同じく、スポットが当たるキャラクターの幼少のエピソードを交えながら、PRISM1のプリズムショーに臨むまでを描いている。PRISM1以前に行ったプリズムショーと重ねているわけではないので、第2話と近い構成になっている。

本編の内容としては、第6話でスポットが当たるのは鷹梁ミナト。エーデルローズのプリズムスターでありながら、エーデルローズ寮で寮生の食事も作っている。ミナトは前作でコウジのレシピのカレーでなければヒロを元気づけられなかったことで気を落としていた。そんな折、ミナトの母親がぎっくり腰になり、ミナトは実家に帰省することに。ミナトのいない寮では、食事を作れる人がおらず、寮生たちは困り果てる。エーデルローズ寮では食事を作る人を雇えず、過去に寮生が当番で作っていたが、他の寮生はまともに料理ができず、料理ができるミナトが担当することになったという経緯と、ミナトはコウジのプリズムショーを見て衝撃を受けたこと、コウジの料理を食べて感動したことでエーデルローズに入学したことが明かされる。そんなコウジに追いつくどころか背中を見ることすらできずにミナトは落ち込んでいたが、父親から家の港ではなく、大きな港になってほしいという名前の由来を聞かされ、エーデルローズのみんなからはコウジの作ったカレーよりも、ミナトの作ったカレーを望まれていることを知り、立ち直る。

よかった点は、今回はストーリー的には一番よくできている。今までの回で不満があったエーデルローズに入学してからの変化や、過去ではなく現在の話の中でキャラクターが発見したことが描かれている。ミナトは前作でヒロを元気づけられなかったことで自分の料理の無力さに落ち込んでいたが、それは思い出の差でしかなく、ミナトと共に思い出を作ってきた寮生たちは、コウジの料理よりもミナトの料理を求めていると知ることで立ち直るというのは納得できる。それに今まですべての回で寮生たちがミナトの料理を食べているシーンを積み重ねてきたため、ミナトの料理を望むことに描写的な不足もない。今回はこの大筋に関しては文句の付け所はない。

それぞれが料理当番の時の描写も、インスタントラーメンしか作れない山田さん、調味料だけ持ってきて米を炊けないユキノジョウ、スイーツのみのレオ、カップ麺だけのタイガ、お菓子だけのユウ、料理人を雇って豪華料理を出すカケル、といったそれぞれの個性が出ていて面白かった。こういうステレオタイプ的なキャラ付けはやりすぎると萎えるが。「食費を払っているなら食事を作る人を雇えないでは済まされない」とか「そもそも一人が全員分の食事を作る必要ないし、各自で買うなりして食べればいいのに」などと突っ込もうと思わないゆるい雰囲気にできている。

悪かった点は、まずこの話はレインボーライブ第45話のヒロのプリズムショー中に2~3秒ほど流れるヒロとコウジがカレーを一緒に食べた思い出という1カット、前作のKING OF PRISM PRIDE the HEROでヒロが食べたカレーは、そのコウジとの思い出のレシピを教えてもらって作ったカレーであるという裏設定(描写的にそれを読み取れるのは、料理中のミナトの携帯にカヅキからメールが届くくらいしか存在していない)、これらの情報を知らなければ、今回の話は理解できないところである。

あと血の繋がらない妹の翼、可愛いのだが、この物語に必要だったかというと別に必要ない。大家族設定のため、「大家族なら血の繋がらない兄弟姉妹くらい一人か二人くらいはいるだろう」というノリで、特に膨らます気のない設定の可能性もあるが、ミナトに対しての翼の反応や、翼が拾われた子供であることが時間を割いてやたら意味ありげに描写されており、次回作で続きが描かれないなら無駄になってしまうため、膨らます意図があると思われる。今作において次回作がなければ意味がない描写は今回が初めてではなかろうか。他のキャラクターは、タイガの母親が元プリズムショー関係者を匂わせる描写くらいで、今作のみで一応完結していて、次回作がなくても違和感はないが、今回の翼の描写は、次回作がなければ意味がない描写になっている。それに次回作で血の繋がらない妹との何らかのエピソードが描かれたとしても、血の繋がらない妹との物語が、今回で見せたような家の港ではなく、大きな港でありたいというミナトのキャラクターの魅力に繋がる物語になるかといえば疑問である。血の繋がらない妹の存在は、ミナトを「料理担当キャラクター」という一面的なキャラクターにせずに、奥行を出すことに成功するかもしれないが、蛇足になる可能性もありうる。

次回作で描くつもりで、さらにそれが成功すればいいのだが、今の時点では血の繋がらない妹の設定に描写を割くなら、ミナトはなぜプリズムスターをやるのかといった描写を入れられたはずだと思わざるを得ない。今回唯一描写不足だったのはそこだ。「料理人として落ち込み、料理人として自信を得る」という話の完成度は高いが、「プリズムスターとして落ち込み、プリズムスターとして自信を得る」という描写がない。つまり、ミナトはプリズムスターとして悩んでいるというよりも、コウジの料理に及ばなかったことで気を落としており、今回の話はミナトがプリズムスターである必要はなく、別に料理人でも変わらないわけだ。プリズムショーを始めるきっかけとなったコウジのプリズムショーは、料理要素のあるプリズムショーであり、ミナトがプリズムショー自体に拘る理由は何なのか。今回の話では、ミナトはプリズムショーで他のエーデルローズ生の足元にも及ばないと思っており(そもそもそう思うに至った描写もない)、自分の料理には自信を持てたのなら、プリズムスターではなく、料理人でもいいはずであり、なぜプリズムスターを続けるのかという疑問を埋められていない。家の港ではなく、みんなの港になるために、プリズムスターの方が料理人よりも大勢の人に届けられるということかもしれないが、「料理人のミナト」だけで「プリズムスターのミナト」の描写が不足している。